田中のくせに!!
「もしかして今日、あんまり来たくなかった?」
そう言ってあたしの顔を覗き込む男の人。
色白で、スッと通った切れ長の目が、頭よさそうって感じ。
…名前、なんだっけ?
「…俺は三浦理(ミウラサトシ)。
まどかちゃん…自己紹介、あんま聞いてなかったでしょ?」
うっ、バレてる。
そうなんだよね、なんか、みんなの勢いに圧倒されちゃって…
「…すみません」
「アハッ、いーよ。
俺は、まどかちゃんみたいに、純粋そうな子の方が好きだし」
そう言って、あたしの髪の毛に指を絡ませてくる、三浦さん。
…な…何コレ。
あたしははじめての事態に、頭の中真っ白。
い…いきなり髪触るとか…かなりチャラくない!?この人。
それとも合コンでは、普通のノリ!?
恋愛初心者のあたしは、ただただ固まって、何も言えず。
「俺…まどかちゃんのこと、もっと知りたいな?」
そしてフッ…と、あたしの耳元で、そんなことを囁いた。
な…な…な
何これーっ!?
「あっで、電話っ…」
その時、カバンにいれていたスマホが、タイミングよく着信を知らせて。
あたしは慌てて席を立った。