よみがえれ誠の魂よ〜天つ風は何処(いずこ)へ〜
此処は現代。蘇る新選組。
天才剣士、沖田 椿。
《近藤 陽呂side》
陽「………なぁ、紫苑。」
俺は隣にいる相棒に声を掛ける。
紫「……………どうしたんだ、陽呂。
………………いや、近藤局長。」
………流石に、その呼び方は慣れねぇな………w
陽「本当にこの道場に、新選組一番隊隊長、
沖田総司の血筋が居るのか?」
紫「嗚呼、間違いねぇよ。山崎が探したんだ。
外れる事は、絶対無い。」
そう言うとドヤる紫苑。
流石に気持ち悪いなぁ…………ww
紫「おいおい、近藤局長。
失礼な事考えてンじゃねぇよ……汗」
陽「ッ!!?」
あらら、思ってる事がバレちゃった
みたいだねぇww
陽「あ、ははは…………汗
まぁ、気を取り直して、早速入るぞ!!」
突然誤魔化して道場に入る俺に、最早呆れて
何も言わない紫苑。
一度溜息を吐いて、スタスタと着いて来る。
暫く道場を巡り歩いていると。
何処からか、竹刀を振るう音が聞こえてくる。
俺と紫苑は目配せをし、其方へ向かった。
其処は稽古場。
稽古場に入った俺達は思わず目を見開いた。
──────其処にいたのは。
ポニーテールにされた長い黒髪。
クリッとした茶色の綺麗な瞳。
ぷっくりとした紅の唇。
真っ白で細く折れそうな肌に体。
──一言で言うなら、正に絶世の美女が居た。
その美女は俺達の気配に気付いたのか、
此方を向き、怪訝そうな顔をしている。
陽「………ええと…………。
此処に、沖田総司の血筋の者は居るかい?」
なるべく優しく優しく、俺は質問した。
すると彼女は、
『…………見ず知らずの輩に教える価値もない。
まずは名乗れ。そして目的を言え。
話はそれからだ。』
と言った。
吃驚した。彼女の外見とは違う内面。
挙句恐ろしい程の殺気。
陽「……………俺の名は、近藤 陽呂。
…………ほら、紫苑も。」
紫「っち………………。何故女ごときに………。
……………………土方 紫苑。」
紫苑は女ギライだから仕方ないなぁ………w
とりあえず、彼女に説明しなくては。
陽「俺は、新選組局長、近藤勇の子孫だ。
紫苑は土方歳三の子孫。
俺達は沖田総司の子孫と話がしたい。」
すると一瞬彼女の肩がビクッと揺れたが、
直ぐに戻った。
『……………それで?
その沖田総司の子孫がどうかしたとでも?』
陽「いやぁ、実はね…………。
君も、新選組くらい知っているだろう?
忘れられた誠の魂。
それをもう一度貫くんだ。
子孫である俺達が現代に新選組を
復活させる。それで、新選組の子孫を
探し求め、勧誘しているんだ。
──────これくらいでいいかな?」
一息に説明すると、やっぱり疲れるな……。
『…………つまり、戦うのだな。』
陽「嗚呼、そうだ!!
ところで、沖田総司の子孫は
何処に居るんだい?」
『…………失望させるようだが。』
陽「え??」
紫「は?」
『沖田総司の子孫は、
私、だけなんだ。』