よみがえれ誠の魂よ〜天つ風は何処(いずこ)へ〜
暁が居た所から遥700m程離れたところ。
古ぼけた汚いヤクザのアジトに、椿は居た。
─────パン、パン、パァーン!!!
銃弾の飛び交う音が聞こえる。
だが、それは決して標的に当たらない。
完璧に、全てよけていた────────
俺達は、状況も何も気にせず、
無差別惨殺殺人鬼状態に魅入ってしまった。
ただただ、椿は人を斬り続けていて。
だが、その目には光が映ってはいない────
そうこうしているうちに、椿がヤクザ共を
全て切り捨ててしまった。
すると、椿が俺達の気配に気付き、
此方を振り向く。
その目は闇だけでなく、狂気にすら
染まってしまっていた。
皆が皆、その椿の姿に言葉を失う。
『…………ダレカ……………タス…………ケ………テ』
不意に、椿がそう呟いた気がした。
皆、その言葉が聞こえた様で動きが止まる。
が、尚も椿は殺気を立ちこませたまま
此方へ刀を向けながら近付いてくる。
陽「ちょっ…………どうすればいいんだよ?!」
紫「椿だし…………迂闊に手が出せないな……。」
風「参りましたね………。
彼女に傷は付けたくありませんからね……。」
楓「椿………っ……!!」
或「俺、少し椿が怖い…………!!」
无「椿ちゃん…………戻って……………!!!」
要「おいおい、殺気半端ないんだけど?!」
凰「これはどうすれば良いんだ……?」
禅「やはり………っ!!
俺が、あの時戻らなければ………っっ!!!」
禅が自分を責める。
余程気にしているようだ。
───────また、その時だった。
『チガ……………………ウ……………
ゼンノ…………セイデ………………ワ………ナイ……』
違う、禅のせいではない。
確かに、椿はそう言った。
禅「椿様…………………っっ!!!!」
禅が悲痛そうに叫ぶ。
『ワタ、シハ…………ケッシテ………………
ゼン…………ヲ…………ニク………マナイ……!』
そう言った椿の瞳には、
微かに光が戻っていた。