好きって気づけよ。
気さくだし、よく笑う男の子だし。
舞香ちゃんを怒らせちゃうこと以外なら、とってもいい人だ。
……あ、話がそれちゃった。
「それでね、栗原くんが倒れちゃったから……」
「心愛」
説明しようとした声をさえぎって、私の名前を呼ぶ凪くん。
ぴたりと急に立ち止まったから、私は首をかしげた。
すると凪くんは、私の顎を指でくいと持ち上げて、
そっと顔を近づけてきた。
――どきっ……
「なっ、なぎく……ん?」
廊下にいる女の子たちが、こちらを見て「きゃあああっ!!」と高い声で叫んだ。