好きって気づけよ。
私、いますごくわがままだ。
凪くんならずっとそばにいてくれるなんて、当然のことのように考えてるのかもしれない。
こんなの、凪くんに迷惑だ……っ。
「ご、ごめんね。私、なんだかとっても子どもみたいだね。
凪くんが帰りたかったら、全然、帰っていいよっ……」
冷静になった私は、凪くんのブレザーから、ぱっと手を放した。
だけどさみしいのは変わらない。
こんなに泣きそうになっちゃうなんて。
凪くんに手を振って、はやく保健室に向かったほうがいいかもしれないと思ったとき。
――なんの前触れもなく凪くんに体を引き寄せられて、
私と凪くんの距離が、ゼロになった。
ぎゅっと抱きしめられたということを理解したのと、
なにかやわらかいものが私のひたいに触れたのは、ほぼ同時だった。