好きって気づけよ。
顎に人差し指をあてて、思い出すように言葉をならべていく心愛。
その言葉のひとつに少しひっかかり、俺は「は?」と怪訝な表情で心愛を見る。
「近いって、なに?」
「えっとね。突然、顔を近づけられて、びっくりしちゃって。あとは体調が悪かったからみたいだけど、体を放してくれなかったり。それはちょっとだけ困った……かもっ」
――はあ?
「なにそいつ。何発か殴っていい?」
「ええっ!? ど、どうして!? だめだよ!」
顔を近づけたり、体を放さなかったり?
ふざけんな。
誰の了承を得てそんなことやってんだよ!