好きって気づけよ。
「か……かわいい子ぶってゆるしてもらおうなんて、考えないでよ!」
「き、きかないんだから!」
「あんたなんか……っ」
そのとき、
どこにおいてあったのか、先輩のひとりが重そうなバケツをばっと両手にかかえた。
私はおどろいて、「へ?」と声をもらす。
「わっ、悪く思わないでよね! 全部、あんたが悪いんだから!」
バケツはほうり投げられるように、私に向かって勢いよく振り上げられて。
中には大量の水が入っていて、もちろんこの場に立ったままでいると、それを上からかぶってしまう。
だけどいきなりのことで足が動かなかった私は、降りかかってくるであろう冷たさに、反射的にぎゅっと目を閉じた。
――そのとき、強い力で肩をつかまれた。