好きって気づけよ。

*笑顔のうらに過去


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週明け。

真っ白な雲がただよう青空の下、屋上で寝転んでいる栗原くんが視界に入った。




「見つけた! 栗原くんっ」




私の声に気づいた栗原くんは、ゆっくりと起き上がる。


そして私を見ると、首をかしげた。




「あれ。いま授業中じゃなかったっけ?」


「それは私のせりふだよ!」




笑いながら言って、私は栗原くんのそばに歩み寄った。




「授業がはじまっても、栗原くんが教室に帰ってこなかったから。
先生に体調不良だって言って、栗原くんのことさがしてたんだよ!」




嘘をついて授業をさぼるのははじめてで、ちょっぴりどきどきしちゃったけど。


先生にも罪悪感があるけど、栗原くんにどうしてもお礼が言いたかったから。



 
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