好きって気づけよ。
「あのね。これ、あのときのお詫びっていうか……」
私はそう言って、栗原くんに水色の袋とリボンでラッピングされたクッキーをわたした。
受け取ってくれた栗原くんは、目をまるくする。
女の子に人気だし、こういうものはよくもらってるんだろうなと思っていたから、ちょっと意外な反応だった。
「昨日つくったの。凪くんにも味見してもらったから、おいしくできてると思う」
「え。坂野くん、反対しなかった?」
「うん! 栗原くんが助けてくれたこと言ったら、クッキーわたすことにもなにも言わなかったよ」
少しだけ、栗原くんのことを見なおしてくれたんだと思う。
まだ警戒はしているみたいだけど。