好きって気づけよ。
私が笑顔でお礼を言うと、栗原くんも笑ってくれると思ってた。
栗原くんって、いつも明るい笑顔の男の子っていうイメージが強いから。
だけど栗原くんが見せたのは、あの悲しい表情だった。
あれ……?
「心愛ちゃん」
ぱく、とクッキーを食べた栗原くんが、落ち着いた声で私の名前を呼んだ。
「ああいうの。前からされてた?」
「ああいうの?」
「……女の先輩から呼び出されて、好き勝手に罵倒されるの」
栗原くんは今度ははっきりと、直接的な表現で言い直した。
真剣な色をした瞳に垣間見えるのは、あのときも見た悲哀。