好きって気づけよ。
「数学の教科書。昨日、心愛が俺のとまちがえて持って帰ってたみたいなんだよ」
俺のかばんの中に入っていた心愛の教科書を見せると、舞香は少しおどろいた表情を見せた。
「いっしょに勉強でもしてたの?」
「テストに出たとこの解説してやってた」
そのあとに、心愛は栗原にわたすクッキーをつくったわけだ。
堂々と俺の目の前で。
しかも試食させるし。
心愛のつくるものはうまいからいいんだけど、栗原のためっていうのが……。
まあ、俺の気持ちを知らないんだから、しかたないけど。
「あんたたちって、ほんと仲良いわよね」
「俺は幼なじみとしてあいつに接してるわけじゃねぇけどな」