好きって気づけよ。




舞香はそう言い残して、「じゃあね」と教室にもどっていった。



逃げる? 心愛が?

それは……ないだろ。


心の中で言い切ってみたものの、そんなことはわからない。



思えば俺が心愛に気持ちを伝えないのは、あせっていないからかもしれない。


心愛に恋愛はまだ先だと思って、安心しているから。



ずっとあいつの“幼なじみ”でいるのはいやだと思ってる。

けど、この関係が心地いいのもたしかで。



けっきょく安定した道を選び続けていれば……“幼なじみ”から抜け出すことなんてできない。




「だからって、言えねーし……」



 
< 196 / 356 >

この作品をシェア

pagetop