好きって気づけよ。
ため息まじりにつぶやいて、なにげなく廊下を見ると。
心愛と栗原がその場で立ち止まった状態で、こちらを見ているのが視界に入ってきた。
……なんで立ち止まってんの?
いつもなら俺に気づいたら、すぐに声かけてくるくせに。
そばに栗原がいるからなのか、ちょっともやっとした気分になる。
栗原は心愛にひと言声をかけて、教室に入っていった。
「心愛」
心愛に歩み寄って名前を呼ぶと、とまどったように目をきょろきょろさせる心愛。
え? なにその態度……?
「心愛? どうした?」
「えっ、いや……。凪くん、舞香ちゃんとお話してたなぁ、と思って……」