好きって気づけよ。




「……ふざけんな」




凪くんは低い声でそう言って、私の手をつかむ力を強める。




「いつも俺のまわりうろちょろしてたくせに、なにが話しかけてこないでだよ。ムカつく」


「……っ」


「そんなに俺のそばにいるの、いやだったのかよ」




いやじゃないよ……。

むしろ、凪くんといっしょにいたいって思ってるのに。


わがままだってわかってても、そばにいたいって願っちゃうのに。



ぜんぶ嘘だよ、凪くん……。



気づいてほしい。気づかないでほしい。

わかってくれない。わからなくていい。


矛盾した気持ちがせめぎあう。



 
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