好きって気づけよ。
そうか……。
なるほど、たしかに心愛ならそれはありえる話だと思う。
なんせ恋愛の思考がどこかにいってしまっている、無知なあいつのことだ。
けど、自信たっぷりで見解をのべる栗原に、少しイラッとした。
幼なじみである俺のほうが心愛のことをわかっているはずなのに、って思って。
俺、どんだけこいつと張り合ってんだよ。
栗原は食べ終えたポッキーの箱をごみ箱にぽんと捨てて、俺を見た。
「とりあえず、はやくそのサト先輩とつき合ってるっていう誤解ときなよ。心愛ちゃんがかんちがいしたままだとややこしいよ」
「それができたらいいけど……。いまはちょっと、考えたい」
もう話さない宣言をした手前、すぐに誤解をとくことはできねぇだろうし……。