好きって気づけよ。




「そ、そっか……」


「…………」


「あっ、は、話しかけてごめんね」




悲しそうに謝って、ぎこちなく俺から距離をとろうとする心愛。



なんでお前が謝るんだよ。

謝らないといけないのは、俺だろ……。



俺が一方的に、心愛を傷つけただけなのに。




「心愛……」




躊躇はあったものの、俺はそっと手を伸ばして、心愛の手首をつかんだ。

心愛の目をまっすぐ見つめる。



――ごめん。


そしてそう、言葉にするつもりだったのに。



 
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