好きって気づけよ。

心愛は突然、目からおおつぶの涙をこぼしはじめた。


それにびっくりして、一瞬、息がとまる。



もしかして、怖がらせたのかもしれない。



そう思って手を放そうとしたけど、

その前に心愛が「凪くん……」と小さく、涙声で俺を呼んだ。




「もう一生……そうやって名前、呼んでもらえないって、思ってたんだよ……っ」


「え……」


「嫌われること、言っちゃったの、私だけど……っ！
ほんとは、っやだよ……！」




泣きながら、せきが切れたみたいに心愛が口にする本音。


おどろきながらも、不安と悲しみで満ちた声が、愛しく聞こえる。




「ほんとは、ずっとずっと、凪くんのそばにいたいのっ――……！」