好きって気づけよ。




……もっと、はやく言えよ。

嘘なんかつかずに、最初からそう言えばよかったのに。


そうすれば、絶対に離さなかった。



けどもういいよ。


泣きながらそう言った心愛にとって、俺の存在がどれだけ大きいのか、わかったから……。



もう絶対に、離したくないと思ったから。




「泣くなよ、心愛……」




つかんでいた手首をぐいっと引っ張って、なにより大切な幼なじみを腕の中に閉じ込める。



ほんとに好きだよ、心愛。

……ずっと、心愛のそばにいるから。



幼い子どもみたいに号泣する心愛を、俺は泣きやむまでずっと抱きしめていた。




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