好きって気づけよ。
心愛が俺の言葉に首をかしげるから、「俺の好きな女」とつけ加えてみる。
すると、心愛は「あ……」とうつむいて、首をふった。
「や、やっぱりいい……っ」
「知りたくないの?」
「知りたい、けど……。でも、聞いちゃったら悲しい」
鈍感もここまでいくか。
抱きしめたり、“ずっとそばにいる”って言っても、心愛には伝わってない。
それが愛しかったりもするんだけど、でも……
「凪くんっ、あのね。私、いままでどおり、凪くんと幼なじみでいたい……」
「だめ」
すがるような瞳で言う心愛の言葉をさえぎって、俺はつないだ手を自分のほうへ引きよせた。