好きって気づけよ。

 ・

 *

 ・

 ・




お昼休み。


お弁当を終えたあと、日直の私はひとりで職員室へ向かっていた。



先生に、プリントを取りに行く仕事を頼まれたから。



同じ日直の栗原くんが行くと言ってくれていたけど、

となりのクラスの女の子に呼び出されていたので、私がひとりで引き受けた。


プリントだけだから、レミちゃんと舞香ちゃんについてきてもらうほどでもない。



職員室の棟につながる渡り廊下をひとりで歩いていると。


私の前にいた、ダークブラウンの長い髪の先輩らしき人が、生徒手帳を落とした。




「あっ……」




声をもらすものの、先輩は落としたことに気づいていないようす。



なんだか見覚えのある背中だなぁと思いながら、私はあわてて生徒手帳をひろって先輩を追いかけた。



 
< 297 / 356 >

この作品をシェア

pagetop