好きって気づけよ。
「あのっ、生徒手帳落としました!」
「え?」
声をかけると、立ち止まってこちらを振り返る先輩。
その顔を見た瞬間、あ、と気づく。
3年生の、サト先輩だ。
「あら、ありがとう。うっかりしてたわ」
笑顔でお礼を言って、生徒手帳を受け取るサト先輩に、つい見とれてしまう。
やっぱり、とっても綺麗な人。
声もしっとりと落ち着いていて、大人っぽい。
どうして凪くんは、サト先輩じゃなくて、私を好きになってくれたんだろう……。
「あなた、心愛ちゃんよね?」