好きって気づけよ。




「あのっ、生徒手帳落としました!」


「え?」




声をかけると、立ち止まってこちらを振り返る先輩。

その顔を見た瞬間、あ、と気づく。



3年生の、サト先輩だ。




「あら、ありがとう。うっかりしてたわ」




笑顔でお礼を言って、生徒手帳を受け取るサト先輩に、つい見とれてしまう。



やっぱり、とっても綺麗な人。

声もしっとりと落ち着いていて、大人っぽい。


どうして凪くんは、サト先輩じゃなくて、私を好きになってくれたんだろう……。




「あなた、心愛ちゃんよね?」



 
< 298 / 356 >

この作品をシェア

pagetop