好きって気づけよ。
こちらに身を乗り出したサト先輩に、グイッとその手を引っ張られて。
気づけば、ミルフィーユはサト先輩に食べられていた。
ぺろり、と赤い舌で唇を舐めるサト先輩が、上目づかいで俺を見上げてくる。
「……ねえ、凪くん? いま、ちょっとどきどきしてるでしょ?」
「……っ」
「私の勝ちね」
勝ち誇ったように笑うサト先輩の言葉に、なにも反論できないでいると。
――ガタンッ!
静かなカフェの空間に、明らかに目立つ音が響いた。
反射的にそちらに顔を向けると、視界に入ってきたのは、
立ち上がっている心愛だった。