好きって気づけよ。
そうつぶやいたとき、人気のない休憩所の近くに心愛を見つけた。
立ち止まって、うつむいている。
「心愛!」
その小さな背中に声をかけると、びくりと肩をはねさせる心愛。
ゆっくりとこちらを振り返った心愛は、涙目だった。
「なっ、凪くん……っ?」
「心愛、ごめん」
歩み寄ってすぐに引き寄せると、「え……?」と心愛が涙のたまった瞳で俺を見上げる。
あんなに嫉妬させたかったのに。
心愛のこんな悲しむ顔を見た瞬間に、そんなことを考えていた自分を悔やんだ。
それと同時に、心愛が妬いてくれたことにたいしてほっとする俺は、やっぱり悪い男なのかもしれない。