好きって気づけよ。




心愛の名前を呼ぶと、「えっ」とおどろいて振り返る心愛。



そんな彼女をうしろから抱き締めて、俺は前にいる男子を見た。


そのとたん、「さ、坂野くん!」とあわてふためくそいつ。




「心愛は俺のなの。わかってる?」


「な、凪くん?」


「ち、ちがうんだっ。奪おうとしてるんじゃなくて! ただ、僕の気持ちを……」




奪おうとしてるんじゃないって、当たり前だろ。

俺からこいつを奪えるわけねーし。


ずっと想い続けて、やっと手に入った、大事な幼なじみなんだから。



こいつはわたさねーよ、誰にも。




「す……すみませんでした!」



 
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