好きって気づけよ。
3年の放送部員のサト先輩は、俺を訪ねるときいつもうしろのドアからくる。
アドレス交換してるんだから、俺としてはわざわざ教室までくるのはやめてほしいんだけど。
その風貌から、いまもクラスメイトの視線を集めて、すげー目立ってるから。
何度言ってもなぜか教室までくるんだよな……。
「凪くん、おはよう」
「おはようございます。今日の用件は? CDはまだいいんですよね?」
にっこりとほほ笑むサト先輩に、単直に問いかける。
俺はときどき、サト先輩に放送で使うCDを貸していた。
頻繁にはでない。
昨日返してもらったばかりだから、当分はこないと思っていたのに。