好きって気づけよ。
「今日はね、凪くんをデートに誘おうかなと思って」
「……デート? なんで」
「いつもCD借りてるし、そのお礼。テストが終わったらどこか行かない?」
自信にあふれたその笑みに、周囲の男子が顔を赤くするのがわかった。
俺は首のうしろに手をやり、小さくため息をついた。
「先輩。受験生なんだから、デートするひまがあるんなら勉強したらどうですか」
「ふふ。心配されるほど気を抜いてるわけじゃないのよ。1日くらい大丈夫でしょ」
わからないのだろうか。
遠まわしに断っているということが。
それともわかっていながら、押しているのかもしれない。