好きって気づけよ。




見慣れない顔がいきなり至近距離にきて、びっくりしてしまう。




「佐伯さん、すげーかわいいね」




栗原くんが、満面の笑みを見せる。



その瞬間、クラスの女の子たちがいっせいに、黄色い悲鳴を上げ始めた。


私はそれに、びくっと大きく肩をはねさせる。




「えっ……あのっ……」


「ね、彼氏いる? いないなら俺が立候補してもいい?」




ど、どうしよっ。

なんだかちょっと、怖いっ……。



いままで凪くん以外の男の子とここまで接近することがなかったから、混乱してしまう。



手首をぎゅっとつかまれて、恐怖心で体がすくんでしまった。



思わず、じわりと目に涙が浮かんできたとき。


不意にぎゅっと抱き寄せられて、栗原くんから体が離れた。



 
< 80 / 356 >

この作品をシェア

pagetop