好きって気づけよ。
「心愛に近づかないで」
前の席から私を抱き寄せた状態で、冷たい視線を栗原くんに向ける、舞香ちゃん。
全身で敵視している感じだ。
教室内がしーんっ、と水を打ったように静まり返る。
「舞香ちゃ……」
栗原くんには申し訳ないけれど、ほっとした。
ちょっとだけ、怖かったから。
舞香ちゃんにありがとうと言おうとしたとき、栗原くんは舞香ちゃんにもニコッと笑いかけた。
「邪魔しないでほしいな。俺、その子のこと好きになっちゃったんだよね」
「……ふざけないで」