好きって気づけよ。




「心愛に近づかないで」




前の席から私を抱き寄せた状態で、冷たい視線を栗原くんに向ける、舞香ちゃん。


全身で敵視している感じだ。



教室内がしーんっ、と水を打ったように静まり返る。




「舞香ちゃ……」




栗原くんには申し訳ないけれど、ほっとした。

ちょっとだけ、怖かったから。



舞香ちゃんにありがとうと言おうとしたとき、栗原くんは舞香ちゃんにもニコッと笑いかけた。




「邪魔しないでほしいな。俺、その子のこと好きになっちゃったんだよね」


「……ふざけないで」



 
< 81 / 356 >

この作品をシェア

pagetop