好きって気づけよ。

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ひと気のない南棟に逃げてきた私たち。

というか、私が強引に栗原くんを連れ出しただけだけれど。



舞香ちゃんは怒ると火山が噴火するように、とっても怖い。

大好きだけど、怖いものは怖いもん。



だから、噴火する前に避難するが勝ち!




「ごめんね。学校案内っていうのは、とっさについた嘘で……」


「俺のこと、助けてくれたってことだよね?」




あっ、わかってたんだ。


栗原くんが笑顔で聞いてきたから、私はうなずいた。



すると栗原くんは、つながったままだった私の手を、逆にぎゅっとつかんできた。




「そういうことされちゃうと、期待したくなるんだけど?」



 
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