情熱のラブ・ フォルテシモ

「ジュナ、会いたかった。入って！」

ジョシュは私を見るなり挨拶もほどほどに

私の手を取ってスタジオ内へ引っ張った。

マネージャーとライアンはスタッフと音響室の中に入った。

私は上着を脱いでヘッドフォンを耳に当てジョシュの隣りに立った。

「ジュナ、まず僕が歌うから聴いて。」

「わかったわ。」

ヘッドフォンからピアノの前奏が流れてきた。

アルバムで聴いた曲だった。

彼の肉声に私は鳥肌が立ちっぱなしだった。

歌う彼はとても真剣で心がこもっていた。

まるで別人のようだ。

彼自身が自分の声に酔っているのだろうか。

喉とお腹でコントロールする彼のテノールの低音が私の耳の奥に響き渡った。

「ジュナ、今度は君の番だ。ザッとでいいから流してみて。」

私も同じ曲を歌った。

私は夜空に吐くような想いを込めて歌った。

「ジュナ、すごいよ！なんて素敵なんだ。自分の歌なのに君が歌うと狂える。」

「大袈裟ね。私もジョシュの生歌に狂えたわ。」

「オーケー、今度は二人でやってみよう。」ライアンが言った。