情熱のラブ・  フォルテシモ
私はガラス越しに見守ってくれている田原マネージャーと目を合わせた。

彼は私に小さくうなづいてくれた。

私は口元でちょっと笑いかけた。

「ジュナ、いい?」ジョシュが聞いた。

「ええ、いいわ。」

二人で歌い、二人の声が交じり合う微妙な響きに私は驚いた。

ライアンとジョシュは最初からこのことをわかっていたのかしら?

重なり合ったジョシュと私の声の絶妙な音感に不思議な感覚を味わえた。

「ジュナ、最高だよ!信じられないよ。君だけがこうできる。君にしかできないんだ。」

ジョシュは興奮していた。

「ありがとう、ジョシュ、誉めてくれて。」

ヘッドフォンを外して二人でピアノ椅子に腰掛けた。

「ジュナ、君はアメリカに来れる?僕のスタジオでもう一度歌ってほしいんだ。」

「ええ、行けるわ。ジョシュのスタジオってどんな感じなのかしら?」

「ホールだよ。オーケストラが入れるくらいのね。」

「そうなの?すごいのね。」私は彼と少し話した。

< 13 / 57 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop