情熱のラブ・  フォルテシモ
私はディナーの後、タクシーでクラブへ寄った。

自分の控え室に入り、ドレスを眺めた。

ドレッサーに向かって座り、ミラーの中の自分に問いかけた。

「ここに何か置き忘れてないかしら、何も?」

コンコン、とドアがノックされた。

「どうぞ。」

田原マネージャーだった。

「ジュナ、やっぱりここだったか。」

「私、忘れ物がないかと思って。」

「そうか。」

「何もないみたいです。」

「当分会えないが、しっかりやってくるんだ。ここは何も変わらないし、俺もずっといるし、いつ帰ろうと君ならいつでも大歓迎だ。それだけは覚えておいてほしい。」

「はい、ありがとうございます。」

「それから細かいことだが、機内は思う以上に乾燥するから喉に気をつけろよ。ジョシュは何だかんだ言ってくると思うが、その都度ラリーに相談するんだ。それからここはこのままにしておくよ。あと言っておくことはなかったか。」

「マネージャー?」

「何?」

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