情熱のラブ・  フォルテシモ
渡米前日の木曜の夜はとても短く

私は彼と朝まで愛し合った。

今日はシカゴへ行く日だ。

「ジュナ、帰る時はメールを入れてくれないか?」

「必ず入れるわ。」

「いい仕事になることを祈っている。ジョシュに振り回されないようにとも。」

「ラリーが言ってたの。田原は私の恋人か?って。」

「彼は何もかもわかっている人間だ。ジョシュがこの先どうなっていくか、全て彼の手腕でどうにでもなり得る。ジョシュはまだ何もわかってないが、苦い経験を味わうことも大事だ。ラリーはジョシュが君に大失恋すると予想できているはずだ。俺もそう思う。ジョシュがそのことでどん底に落ちようとスランプになろうと、君は何も悪くないんだ。割り切れよ。」

「大丈夫。私は愛する人がいるだけで充分幸せなの。ビジネスはビジネスよ。」

「無理しないように。それだけだ。寂しくなるが12月に帰れなければ俺が行く。」

「ありがとう、嬉しい。それまで耐えられるかしら?私が欲求不満になったら歌が滅茶苦茶になるかも。」

「あっはっは、ジョシュが気をもむだろうな。それすら彼にとって初体験なんだ。」

彼のそういう言い方に私の心は軽くなった。

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