情熱のラブ・  フォルテシモ
ステージはライトで眩しく

クラブ内は薄暗く客の顔が見づらいのもいつものことだった。

私は曲順からだいたいの時間を把握していた。

今はたぶん9時過ぎだ。

A席に外国人らしき男性の客が4人入ったのを目で確認した。

私は70~80年代の歌が好きだった。

50歳代なら誰もが耳にしたメロディーだと気づくものばかりを歌った。

A席の一人は50歳代とわかる白髪まじりだった。

グレーか銀髪かもしれなかった。

二人目と三人目は30歳代だと思った。

最後の一人はよくわからなかった。

若いような、でも特別若くもないか、20歳代か

気になってつい何度も目線を送ってしまった。

クラブに来るには若すぎるかも思った。

おおよそ10時だと思い私はステージから下がった。

チャーリーにピアノを任せ私はオフィスへ向かった。

「戻りました。」

デスクの向こうで田原マネージャーは私を見つめた。

私も静かに見つめ返した。

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