情熱のラブ・  フォルテシモ
田原マネージャーはデスクに戻り腕を組んで椅子の背にもたれた。

「ジュナ、君のためだ。このオファーを受けた方がいい。声合わせなんて本当は必要ないんだ。」

「それならなぜわざわざスタジオを取るのかしら?」

私には理解できなかった。

「君をリラックスさせてから本題に入りたいんだろ?決まっている。」

「このレターには詳しく書かれてないわ。」

「ジョシュ・ブラウは世界中を癒した。どこの国のリスナーも彼の声に心を溶かす。君へのオファーはレコーディングかライブだろう。何年かかるか、いつ帰って来れるかもわからない。その覚悟で返事をした方がいい。」

「私には決められません。」

「なぜ決められない?」

「世界が違うもの。」

「恐いのか?」

「・・・・・」

私は無言で彼を見つめるしかなかった。

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