泣き星
「冬夜に見せたかったものはね、これなんだよ。綺麗でしょう?」
星羅がそう話している間に、星空からはどんどん星が流れ出す。次第にその間隔が短くなっていくことと流れ星の数の多さに、俺は驚きと歓喜で言葉を失ってしまった。
何も言えなくなってしまっている俺の気持ちを悟った星羅が再び話し出す。
「今日はね、流星群が見られる日なんだよ。冬夜と一緒に見たかったから、さっき来てくれたときは嬉しかった」
「……そうだったのか。ありがとな、連れてきてくれて。すげー綺麗だし感動した!」
流れ星なんて、思えば本物を見るのは初めてかもしれない。
テレビとかプラネタリウムでは見たことがあるけど、実物を自分の目で見るのとは画然と違った。
星が流れる瞬間は綺麗だけど、そのあとはあっという間に落ちていく。
それが少し切ない。だからこそとても心に余韻を残すのだけれど。
「良かった、喜んでくれて。冬夜ならそう言ってくれると思った」
嬉しそうに微笑む星羅の後ろの空でも、星がチカチカと瞬いてすぐに姿を消した。
高台には古ぼけたベンチがあったから、二人でそこに座った。
もともとは白いペンキが塗られていたであろうベンチは、素材そのものの茶色の部分がところどころで見え隠れしている。
相当年季が入っているらしく、二人分の体重を受け止めてキィィッと金切り声のような悲鳴を上げていた。