泣き星


 身体を少し動かすたびにガタガタと揺れるので一抹の不安は残る。
 でも星羅と身を寄せ合って自然のプラネタリウムの世界に入り込んでしまえば、そんなことはすぐに気にならなくなった。


 流星の不規則なパレードを、手を繋いだまま見上げていた。

 少しの時間しかまだ見ていないけど、だいぶとたくさんの星が流れていった気がする。

 うっとりとした様子で星羅が口を開いた。


「流れ星ってさ、斜めに流れないんだね。わたし、ずっと斜めに流れるものかと思ってた」

「あ、俺もそれ思った。なんか斜めに流れるっていうか、真っ直ぐ落ちるって感じだよな」


 星羅が言ったことに俺は激しく同意した。
 だって、さっきから見える流れ星はみんな海や町に向かって落ちていくんだ。

 もっとこう、空の右上から左下に向かって斜めに流れていくイメージがあったんだけどなあ。

 実際に見る流れ星は、流れるというよりも落ちるという表現の方がよく似合った。

 たくさんの星は、白っぽい光の筋になって真っ逆さまに落ちていく。
 幾度も、いくつも。それでも空から、星が減るなんてことはないけれど。


「……なんだか、あれだね。流れ星って、星空が泣いてるみたい」


 星羅がぽつりとそう言う。白い息が辺りに舞った。

 覗き込んだ横顔が何故かとても真剣で悲しげだったので、俺はゴクリと唾を飲み込んだ。
 それでも開いた口の中は乾いていて心地が悪い。


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