泣き星


「星空が、泣いてる……?」

「そう。星空が落とした涙が、流れ星になって真っ直ぐ落ちていくの。それで落ちた涙が溜まって出来たのがあの海。海に落ちていく流れ星を見てると、まるでそう思えない?」


 星羅の細い指先が、星が尾を引いて落ちる姿をなぞった。そして星空の涙が溜まって出来たという海を指差す。

 星羅の横顔を覗き込むと、儚くて今にも消えてしまいそうだった。


「……星羅?」


 擦れた声で名前を呼ぶけれど、星羅は返答しない。
 代わりにそっと繋いでいた手を離すと、ゆっくりと星空を見上げて囁いた。

 まるで願い、そして祈りを捧げるように。


「……これだけ流れ星が流れてたら、どれか一つぐらいはわたしの願いも叶えてくれるかな?」


 小さい頃、俺も憧れていた。
 流れ星が流れている間に3回願い事を言えたら、その願い事が叶うっていうジンクス。

 実際には流れ星を見つける機会さえままならなくて、そのジンクスを試すチャンスさえ残念ながら訪れたことなかった。

 でも今なら頭上に、何度でも何個でも流れ星が姿を現してくれている。

 確かにこれだけ流れ星があれば、一つぐらいは何か願いを叶えてくれそうだけども……。


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