隣の部屋のナポレオンー学生・春verー
思わず硬直するあたし。
いや、硬直するよね?これ。
声からして、どう考えても……
男同士で○○○や●●●しちゃってる感じだよ。
完全にブチ込んでるときの喘ぎ声だよ。
(※お見苦しい発言、ご容赦ください)
あたしも昔はホモに狂ってた時代もあるけど……。
あれはアニメとか漫画のイケメンたちの二次創作であって、リアルにブチ込んでるのは、あんま想像したことがないというか、免疫がないというか……。
ヤバイ。
緊張で鼻息が荒くなってきた。
(※何度もお見苦しい発言、ご容赦ください)
というか、あたしはこの状況で、「ミカンをおすそ分けにきました」と入ってもいいのだろうか。
もしインターホンを押したとして、半裸の男が出てきて、奥にシーツにくるまれた可愛い系の男がいたら……。
だめだ。
気まずい。
あたしは暫く、うじうじとそこに立っていたが、先ほどの嫌らしい会話が急に止まった。
「……くそっ。
やはり責める男の声は得意ではないな」
部屋から悪態をつく声がする。
男の声が得意じゃない、とはどういうことだろう。
悪態をついているのも、立派な男の声だ。
とにかく、喘ぎ声が聞こえないところをみるに、いやらしい行為は一時休戦になったと窺える。
いましかない……!
あたしは素早くインターホンを押した。
「こ、こんばんはー……」
声を掛ける。
しかし、部屋の中からは足音がするばかりで、返事は返ってこなかった。