隣の部屋のナポレオンー学生・春verー
“我が輩の辞書に不可能の文字はない!”
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『ーー……迷ったの?』
桜の木の下、陽だまりの中で彼は言った。
おそらく先輩だろう。
広い大学の中で迷っていたあたしに、彼はふわりとした笑顔で手を差し伸べてくれた。
『は、はい……』
『じゃあ、俺についてきて?
行きたい場所まで送ってあげる』
あの先輩はとても物腰がとても柔らかくて、紳士的。
ときめき、とは、こういう時にくるものだろうか。
とにかくその後、あたしは暫く教室でうつつを抜かした貌をしていた。
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