隣の部屋のナポレオンー学生・春verー
ナポレオンはあたしがうつつを抜かしている男性像に、興味が湧いて仕方がないらしい。
やっぱりナポレオン……ホモなんじゃないか?
そんな疑惑を抱きつつも、口はおのずと動いていた。
「んっとね……たしか、神山 陸(こうやま りく)っていう、3年生の先輩だよ」
「ほう」
「小顔だけど背が高くて、優しくて紳士的で」
「ーーー色白で茶髪で、まるで王子様のような男、だろう」
……はい?
あたしが言おうとしてたことを、ナポレオンはひとつ残らず言いたてた。
ってか、なんでわかったの?
「もしかして、神山先輩のこと知ってるの?」
「いや、知らん」
ナポレオンは首を横に振る。
「だが、そういう感じの男は、ケータイ小説とやらで厭ほど見かける。
どうせそいつの周りには、ファンクラブらしからぬ女集団もおるのだろう?」
ドヤ顔でナポレオンは言う。
……でも、あながち間違いじゃない。
確かに神山先輩は容姿端麗だから、半端ないくらいにモテる。
今のところフリーみたいだけど、あたしを含めて彼に思いを寄せる人は多い。