冷淡なキミの二番目彼女。
私って、恭を不機嫌にさせる天才なのかもしれない。
「は?ふざけてるの?」
顔をしかめながら、私を睨むように見る恭。まぁ、こういう反応をするとは思っていたんだけど。
「やっぱり、嫌だ?」
控えめに聞いてみる。嫌がることはしたくないし、困らせるつもりも毛頭無い。でも、女の子なら憧れることだし、やりたいのが本音。
「絶対やだ。写真なんて、撮りたくない。」
どうやら恭はかなりの写真嫌いなようで、全力で拒否される。写真じゃなくて、プリクラなんだけどな。
「写真を撮るのは好きだけど、撮られるのは嫌いだから。」
恭があまりに真剣な顔で言うから、本当に嫌なんだなって、伝わってきた。残念だけどプリクラは諦めよう。
「恭、写真撮るの好きなの?」
私は、なるべく恭を刺激しないように聞く。これ以上怒らせるの、嫌だし。
「ーーー好きだよ。」
はぁ?とか、関係ないじゃん、とか言われると思いきや、案外素直に答える恭。ちょっと嬉しくなる。
「写真の中の世界って汚いモノが無くて、好き。」
いつもの無表情が、どことなく柔らかい表情になったような気がする。でも、恭はどこか寂しそうで。
「自分以外の世界が映る、世界が好き。だから、自分が映る写真も、プリクラも、大嫌いなんだよね。」
そう言って、自嘲的な笑顔を作る。
「だから、悪いけどプリクラは諦めて。」
恭の言葉に、あたしは頷く。ーー恭になにがあったのか、なんて。あんな切なそうな表情をする恭を見たら、なにも聞けなかった。