冷淡なキミの二番目彼女。


 「愛理、その顔やめてくれない?」

 無意識に変な顔をしていたようで、恭は私をちょっと困ったように見た。


 「…ごめん。」

 なんていうか、こういう時って何を話せばいいのか分からない。知りたいことや聞きたいことはたくさんあるのに、恭を見ると何も言えなくなる。


 「愛理ってさ、似てるんだよね。」

 そんな私を見て、恭は溜め息混じりに話し始める。


 「綾音も、愛理みたいにすぐに顔に出るし。ワガママだし。無駄に独占欲強いし。ーー困るんだよ。」

 悲しそう、苦しそう、それなのにすっごく優しそうな顔で綾音さんと私を重ねる恭。ねぇ、私は綾音さんじゃないよ。愛理だよ?


 「愛理が悲しそうな顔してると、なんかツラい。」

 それは、綾音さんと私が似ているからなんだ。ちょっとだけ優しかったのも、ワガママ聞いてくれたのも、ーー私の為なんかじゃなかったんだ。


 「ねぇ、恭の二番目は…だれ?」


 「…愛理だよ。」

 それでも、バカな私は恭の優しさを求めるんだ。恭の二番目で居れば、恭の優しさに触れられるんだから。


 「あたしの一番は、恭だよ。」

 傷ついちゃだめ。望んじゃだめ。困らせちゃだめ。そう思っているのに。


 「…今日はもう帰るね。」

 気持ちはどんどん膨らんでいく一方で、引き止めて欲しいなんて、思っちゃうんだよね。


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