冷淡なキミの二番目彼女。
「私の家、ここ。」
大して会話もしていなかったし、ただ黙って手を繋いでゆっくり歩いていただけなのに、幸せな時間は早く過ぎてしまうようで。
遠回りする道を選んだのに、気付けば家の前。
「さっきの十字路、まっすぐ行けばもっと早く着いたんじゃないの?」
なんて言いながら、恭は首を傾げる。
「恭と、ちょっとでも居たかった。」
会話だけ聞けばちゃんとカレカノなのに、恭は私のことに生返事だけして、空いている手でスマホを操作する。
「じゃあ、あたし家に入るね。」
きっと、早く帰りたいんだな。そう察した私は、笑顔で手を振り家の中へ入ろうと、恭に背を向ける。
「愛理。」
そんな私の名前を呼ぶ、大好きな恭の声。その声にピタリと止まってしまう、私の正直すぎる足。
「写真、撮らせて。」
どういう意味で言ったのかは分からない。ていうか、そんなことはそこまで重要じゃないと思う。
「いいよ。」
私が了承すると、カバンからカメラを取り出して、すごく優しい顔でカメラ越しにあたしを見る。
ーーーパシャッ
優しい音と、ちょっと笑った恭。
「今日は楽しかった。また明日。」
そう言って、帰っていく恭。その背中を見て、昨日よりも、さっきよりも、恭に惹かれている私が居た。