冷淡なキミの二番目彼女。
「二番目って、自分で何言ってるか分かってんの?」
恭の問いかけに、ゆっくり頷く。
「大抵の女は、こうすれば逃げていくのに。ーー立花って、案外強いんだね。」
ハァとため息を吐いて、恭は私の首にそっと触れる。さっきとは違う、全く力の入っていない指先。
きっとしつこい女にはこうやって脅して無理やり自分から遠ざけて来たのだろう。ーーなんで?
「わたしは、恭のこと、なにも知らない。」
だから、知りたい。だから、触れたい。
「だけど、おかしい恭も、怖い恭も、寂しそうな恭も、好きなの。大好きなの。」
ほら、やっぱり恭はこう言ったって、ちっとも私を見てくれないんだ。
全く揺るがない瞳に、泣きたくなるほど切なくなる。私は、ここに居るのに。私と恭しか居ないのに。ーー恭の瞳は、私を見ていない。
「分かった。いいよ、二番目にしてあげても。」
突然。恭は、私の顔を見ることなくーーそう告げた。
「え…?」
「ただし、条件がある。」
恭は今、何を考えているのだろう。