冷淡なキミの二番目彼女。


 「恭、これ可愛くない?」


 「ねぇ。」


 「あ、これも可愛い!」


 「ーー愛理、聞いてんの?」

 切ない気持ちを出さないように明るく振る舞うも、恭にはバレバレなようで。恭は私のことを凝視する。


 「なにさっきからヘラヘラ笑ってんの。」

 恭が私のこと綾音とか呼ぶから、ショックだったんだもん。なんて、口が裂けても言えない。


 綾音さんのことを恭がどれだけ大切に思っているのか分かっていて、それでも付き合いたいと言ったのは私。

 綾音さんのことが一番好きな恭を受け入れると言ったのも私だから。


 「いや、なんか頭痛くて…でも、もう治ったから。」

 我ながら苦しい嘘だと思う。でも、恭に本心がバレるくらいなら、嘘をついていた方がずっとマシ。


 「愛理って本当に、バカなの?」


 「え?」


 「ーーー店、出るよ。」

 そう言って、私の腕をグイッと引っ張りお店を出る恭。私はなにも出来ずにただ引っ張られるだけ。




 「で、あんなに必死に何隠していたわけ?」

 呆れた顔で、私を見る恭。今の恭、私を見てる。なんて、当たり前のことなのに嬉しさを感じてしまう。けど、こんなに凝視されたら、つける嘘もつけなくなってしまって。


 「恭が、」


 「俺が?」


 「綾音さんのこと、考えてるから。」

 そう言った瞬間、不機嫌になる恭の顔を見て、今更遅いけれど後悔してしまう。あぁ、私って本当にーー


 「愛理、俺言ったよね?俺の一番は綾音だけだって。」

 救いようの無いくらい、バカだよね。本当に。恭の地雷を踏んだも同然だよ。


 「本当に女って、面倒くさい。」

 ため息を吐きながらそう言う恭。ダメだ、このままじゃ恭が帰っちゃう。止めなきゃ、止めなきゃーーー


 「待って!!」

 勇気を振り絞って、私は恭の服をギュッと掴んだ。


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