水彩世界の終極より*未完
prologue
世界でたった一人だけ起きているような夜。
あの日から、いつもそうだった。
流れる川の音と、何も喋らない星空は、私の心を癒した。『いいんだよ。ここにいても』と言ってくれているような気がする。
いつもと変わらない静寂な夜、私は涙を流す。静かに。苦しく。
これが体調不良の原因になると分かってはいるけど、眠れる筈がなかった。
眠ることは、薄情な気がした。
今夜もまた、涙を流す。