水彩世界の終極より*未完
修学旅行と恋
修学旅行はクラス替えをしてから1ヶ月もたたないうちにやってきた。
「荷物検索するよー二組ー!」
と担任が叫ぶが、まだ他のクラスの子たちと喋っていたかった私は聞こえないフリをしていた。
「ね、ハルカワ行った?」
「あーー!おはようスズミヤ!あれ、靴変えた?」
彼女の足元は見慣れない新品の靴。修学旅行だからって買ってもらったのかな。
「修学旅行だから」
やっぱり。私は伯父さんとおばあちゃんと住んでるから、そんなわがまま言えないし。
「いいからハルカワ荷物検索行ってきなさい」
と私のリュックを押す。
「はいはいー」
と口を尖らせる私に、
「あれ、ハルカワ今日携帯持ってきたの?」
と小声で問う。
「あー、ばぁちゃんに持ってくって普通に宣言したら没収〜」
「まじでっ?」
と言ってえくぼを作って笑うスズミヤ。
そんなスズミヤに目を細めて、担任の元へ向かう。
リュックを開けて、先生に見てもらう。
「(なんにもやましいものないからはやくしてくれー)」
と思っていると、
「はい、ハルカワこれアウトー!!」
と言って私のお菓子袋を掲げる。
「…え?」
「ハイチュウだめね」
と言って袋詰めのハイチュウを没収する担任。