【短編】指定席
*卒業式
やっと始まった卒業式。
在校生からの大きい拍手とモーツアルトの曲と共に
ぎこちない様子で入場するみんな。
今日でみんなと過ごすのは最後…という気持ちから亜子は悲しくなって目からボロボロと涙が溢れてきた。
みんなにバレたくないと涙を拭うのに必死でいつの間にか代表で卒業のものを受け取っている時も過ぎ、生徒が一斉に立って在校生、保護者たちの方を向こうとしていた。

亜子は少し遅れて
立ってみんなと同じように向いた。

ここは卒業生が歌を歌う時。
卒業式の定番、〔旅立ちの日に〕の前奏が流れる。
歌い出しのところからみんな声がかすれていて、ほぼ曲だけの合唱となった。
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