【短編】指定席
最後は入場の時より、はるかに大きい拍手で退場した。
体育館から出た直後、みんな友達と抱きしめあって別れをおしんでいた。


そして時間は過ぎ、卒業生が帰る時になった。

亜子は康太が居るところへ走った。
もちろん一緒に帰る為に。
けど康太の隣りには知らない女の子たちが群がっていた。
たぶん後輩だろう。
遠くからでもきこえる、たくさんの『ボタンください』の声。
亜子は〔あたしが康太の近くに居たら彼女と間違えられちゃうよね〕と思い、いつもの道を歩いて帰ることにした。
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